All JAコンテスト準備記
いつもコンテストの1週間前から残業抑制モードに入るように努めている。直前の
1週間の疲れが少なければ、徹夜でコンテストに参加してもそれほどこたえないも
のだ。逆に疲れがたまっていると、18時間コンテストですら完走がむずかしい。
残業抑制に成功したのが一昨年の6D、昨年の6Dは完全に失敗した。今回は、残
業抑制モードを考えることすら不可能な状況に陥っていた。ここ数ヶ月、おそろし
く忙しい日々が続いた。コンテスト直前の1週間は、23時、24時まで仕事をし
ているという状態。寝るのは午前2時、起きるのは午前6時。コンテスト当日に沖
縄出張という最悪の事態を避けるために前日(27日)に日帰り出張。その前の日
(26日)は資料作成のため、終電で帰宅。
28日は、午後から会議の予定が入っていた。これさえなければ休暇を取るところ
だが、しかたがない。会議は13時〜14時の予定だったが、終わってみれば15
時。まあ、こんなものか。
15時に会社を出ようとすると、用事が降ってくる。
「中川君、あの件だけど今日中に・・・」
「中川さん、あの件ですが今日中に・・・」
次から次へとやってくる。適当にあしらったものの、数にはかなわない。
17時になった。もう、いいかげん帰るぞ。荷物を持って帰ろうとすると、よその
部署の人が
「中川さん・・・」
連休明けにきくから、と言って振り切った。
17時に会社を出て、実家についたのが19時過ぎ。父親が「まあ、飯を食え」と
いうので、そそくさと食事をとる。なにか話したがっているが、コンテストの用意
が終わったらきくことにして、準備作業にはいる。
今回の作業の眼目はJST-245のセットアップである。昨年に購入したが、使う
のは今回が初めて。3月に実家に運んであったが、結線をしていない。まず、リニ
アアンプとの接続。背面のコネクタから線を引き出せばよい。接続ピンはマニュア
ルに記述がある。マニュアルは先月に実家に運んだはず。
しかし。マニュアルがない。しかたがないから、コネクタのピンにテスタを当
てて調べる。送信時にアースに落ちるピンがあるはずだ。1番ピンから探し始める。
ない。どうさがしても、ない。記憶をたどる。そういえば、リニアアンプ接続時は
どれかとどれかのピンをショートしろと書いてあった。そうしないと、だめという
ことか。その組み合わせをさがす時間はない。ため息。
今回はリニアアンプを使えないということか。100W出力で戦うのか。東京近郊
の局の100W局とは、500Wでやっと互角だというのに。とたんにやる気が失
た。いや、ここでくじけてはいけない。
沈思黙考。持ってきた雑ファイルの中に、CQ誌の切り抜きがあったはずだ。あれ
はいろんなリグのピン配置の特集のはず。調べてみると、JST-245の接続も書
いてある。ふ〜〜っ。
さて、半田付けをしよう。半田ごては60Wで大きめだが、何とか使えるだろう。
コネクタは持ってきた。えぇっ?半田がない。
沈思黙考。前回実家に来たときには、半田はあったはず。近所のDIYの店で買っ
た。全部使い切ったか?そうかもしれない。ちょっと待てよ。わらにもすがる思い
でゴミ箱の中をさがす。おぉ。あった。糸半田が1cmほど(涙)。この半田を大
切に使わなくては。しかし半田がつかない。もしかして、これってヤニなしはんだ
か?またゴミ箱をさがす。おぉ。半田ペーストが捨ててある。わずかに残ったペー
ストでコネクタに線を半田付けした。
次は、スタンバイ回路だ。キーヤーからリグのスタンバイを制御する。これもなん
とか半田をつけた。
よし、プリアンプ。新しいプリアンプを用意したのだが、時間がないから前から使
っているものを結線。なにか問題があったような気がしたが、とりあえず配線する
のが先だ。
ここまで終わったのが、20時50分。電波を出して見ようとするが、送信でき
ない。プリアンプをはずせば出力が出る。そうだ。これがおかしかったんだ。プリ
アンプは使わないことにした。リニアアンプのチューンをとって用意が完了したの
は、20時55分。なんともあぶない。でも、なんとか準備は整った。
21時からCQを出し始める。なかなか呼ばれない。最初の局に呼ばれ、ナンバー
を送ったが受信に戻らない。おいおい。かんべんしてくれよ。気ばかりあせる
が、キーヤーとリグの間のスタンバイ配線をはずせば受信できることが判明した。
とりあえずこいつをはずす。でもこれでは送信にならない。
しかたがない。リグのVOXを使おう。CQを出しながらリニアアンプの入力同調
回路を調整する。なんとか調整が終わって、21時5分。間に合ったというか、あ
わなかったというか。